・ 私は本校に着任以来、外部の方とは酒席を共にしたことがない。意識してそのようにしている。理事会の理事者とも年度末にお辞めになるメンバーの送別会くらいで1年を通して殆どない。
・ 勿論納入業者さんや工事業者さんとも酒席を共にしたことはない。これらは徹底している。逆に私のほうから設備が完成した時などに慰労と感謝の夕べを持つくらいである。従って私が酒席を共にするのはPTA役員との懇親会、そして教職員との会食形式の研修会である。
・ 教職員とは年に一回5月に「大掛かりな歓送迎会」を法人主催で理事者揃って参加し、全教職員をご招待して楽しく行うのが本校の伝統である。基本的にそれ以外教職員と共に夕刻を過ごすと言うことは当初はなかった。勿論教職員はそれぞれのグループで時々送別会やビール会などをやっているみたいだが私はそれらには参加しない。
・ それでは教職員との飲み会が少ないと考えて着任2年目の後半から始めるようにして今日まできている。「教職員とのアフタ-5」である。これらは「理事長の招待の席」としている。校長兼務であるが理事長としての立場である。
・ 一切費用はこちら負担として、何時もではないが、大体お土産もつけるようにしている。これはご家庭を守ってくれているご家族へのものであると念を押して渡しているのだ。これらは教職員への福利厚生の一環であるとも私は考えている。
・ 本校のように大学系列ではなく、学校は中学校、高等学校が各1校しかない小さな学校法人では当然「転勤」などは有り得ない話で定年65歳まで40年間同じ人間ばかりが校舎内の同じ空気を吸っているということも有りうるのである。
・ この4月から事務長に就任した人は元銀行マンであったが本校に来て「転勤がない職場」の雰囲気に驚いたそうだ。私は分かるような気がする。30年、40年同じ顔ばっかり見ている職場など世の中には多くは無い。稀だ。
・ ところが同じ職場で同じ顔を突き合わせていると仲が良いかとなると必ずしもそうではなくて中には「ここ5年間口も聞いたことがない」というのもいるらしい。私はもう専門職の職場ゆえ「誰が誰と仲が良いとか、悪いとか」とかは関係ないと言っている。
・ 仲間意識が時に組織を壊すこともある訳で、プロの職業人として「仕事はしっかり」すれば「それはそれで良い」と思っているのだが、やはり珠には「仕事の憂さ」を晴らせるような場があれば良いと思って飲食の席を提供しているのである。
・ 従ってこれは「好き嫌い」で誘ってはならない。あくまで「準仕事」として割り切っているのであるから、仕事の単位、グループの単位などのまとまりで行っている。何時もではないから秘書は手帳に期日とメンバーを記録している。ダブらないようにしているのだ。
・ この7月は1学期の終了ということで「校務運営委員会のメンバー」を招待しての懇談会である。まず「校務分掌の主任ばかり」で一回目、次に「学年主任と科類長」そして次回が「中学校校務運営委員会のメンバー」としている。
・ お互いが多忙だから日時を見つけるのが大変だが何とかして実現しようと気を使っているのである。学校は夏休みに入ればもう無理だし、夏休み以降も大変忙しくなってくる。特に入試説明会が9月以降入ってくれば土曜日は殆どがつぶれる。
・ 仕事の疲れがたまって来ると「もう酒など良い。少しでも早く家に帰りたい」となってくるものだから大体6月から7月の終業式までがベストタイミングである。マラソンで言えば「折り返し点」である。
・ 校務運営のメンバーは分かったが一般の教諭はどうするのという問いには次の答えがある。やはり学校と言えども組織体であり分掌長や学年主任は組織の上司とは言えないが分掌グループや学年団を率いて調整する業務であるから一般の教諭とは負荷もストレスも異なる。仕事の質が異なるのであって優先順位としては当然上位にある。
・ 一般の教諭については「タスクフォース」「プレジェクトチーム」などのメンバーでその業務が一段落した時にチーム全員を招待することになっているのでその中かに入っておれば機会に預かれる。
・ その昔公立時代にこのような目的で招待をしたら「組合教員」は絶対に受けようとはしなかった。その頑固さぶりに驚くと同時に些かの敬意を感じたものだった。しかし中には面白いと言うかびっくりするようなことを言われたことがある。
・ 「1000円や2000円で買収などされないぞ」と言われたことであった。そういわれた時、何のことかすぐピンとは来なかったのである。「ハハーン、教員社会で上司が部下を連れていくのは立ち飲みか安っぽい居酒屋なのか」と思ったわけだ。
・ しかし後で分かったのは「校長にご馳走になるのは嫌だ。だから割り勘にする。但し教員は1000円か2000円を出して割り勘にしたことにする」ということらしい。私は本気で笑ってしまった。
・ 上司が部下を連れて行くのであるから割り勘などトンでもない話である。これは理事長招待の席」であると本校では言っている。さすがに私学の教員は幾分幅が広いと見えて割り勘とか1000円出すとか言う先生は一人も居なかった。
・ それに大体「めったにある機会ではない」から「一期一会」で出来るだけ「普段行けない場所」「今評判の場所」「季節感のある料理」などを考えて場所を選択している。酒席では何と言っても楽しく飲み食べることである。
・ 難しい仕事の話などしても面白くも何ともない。サラリーマンは上司の批判、同僚の悪口が定番であるが、教員社会は見事なくらいそれは無い。この点は立派である。しかし「談笑」というには程遠い。
・ 「トークが最もおもろい」のであって「愉快にしゃべりながら酒を呑む」ことが大切であるがどうも苦手みたいである。それは私とだからであろう。同期生などと一緒の時は全く変貌する人も居るらしい。
・ 本校では今まで事ある毎に私が「酒席のマナー」を言ってきたからか、本校の教職員は素晴らしい。酒席のマナーは「酒に飲まれるな」「酒に頼るな」「他人に無理強いするな」「手酌で飲むな」「隣の人のコップを見よ」などなど色々あるが全ては「社会人の常識」である。
・ 最も「悪口・説教・下ネタはタブー」であるが、説教と下ネタは当然として悪口ではないが他人の論評ほど楽しいものはない。特に私は大好きでその日に出席していない先生方についてお話を伺うのが大変楽しみである。最近ではこの癖がばれたらしく言ってくれないのが寂しいが、その分「他の先生を誉めそやす」場面が増えてきた。
・ これは大変結構なことで私などが知らないニュースなどが聞けたりすると嬉しくなってくる。「あの常勤講師の先生は、理事長、メチャ良いですよ。生徒の評判最高!」などと聞かされるとついつい部屋に呼びたくもなるのだ。
・ お酒が少し入れば気持ちは軽くなって「明日から又頑張ろう」となってくれたら費用など安いものだ。教員からすれば明確な上司は私一人だから体に気をつけて今後とも教職員と楽しい夕べを取りたいと思っている。