2011年7月6日水曜日

23年7月6日(水)公立高校はガラガラ




中高合わせて現在2050名以上



新教室の建屋の屋根



新教室は4部屋できます

・ 今朝の朝日の記事である。何時かは出るだろうと思ってはいたが結構遅かった。どうして書かないのか不思議であった。しかしようやく朝日が記事にした。これで他紙も追っかけて関連の記事が出てくるだろう。「絶対に見逃せない現象」が今大阪の高校教育界で起きつつあるのである。

・ これらを記事にしないようでは社会部教育担当記者の名折れだ。大いに期待したい。然し今回の朝日の記事内容には若干の「食い足りなさ」を感じるのも事実だ。是非続編を書いて欲しい。視点が抜けている。「それで私学がどうなったか?」がポイントではないか。今回の記事にはこの点が全くない。

・ 新聞記事の見出しは「私立無償 公立ガラガラ」「大阪府立高4割定員割れ」「遅い入試 低学力層が敬遠」「定員240人入学120人不登校60人」とあった。衝撃的である。しかし一度この記事を書いた記者さんは面白い。表現が上手い。さすがプロだ。

・ 記事の内容は今年度から大幅に拡充した「私立高校の授業料無償化拡大」の影響で私立人気が急騰し「公立の普通科高校の40%が定員割れ」していることを報じたものである。公立側は「不人気のレッテルが固定化してしまう」と危機感を募らせているとあった。

・ このせいだろう。今大阪府の塾業界で交わされている話題は従来来た事のない府立学校の教員が「塾を回って」生徒募集活動をしていることだという。従来塾などに顔を向けることさえしなかった公立の教員がなりふり構わず走り回っているのだ。

・ 大変結構なことだ。府立高校の先生も「生徒を集める苦労」をすれば私立高校の教員のしんどさを少しは分かってくれるだろう。橋下知事の施策で「同一土俵での生徒獲得競争」に益々弾みがかかった。知事の狙いとおりの展開である。

・ 府立の教員が走り回るのは豪腕橋下知事が「生徒を集められなかったら校長と教員に責任を取ってもらう」「定員割れの学校は統廃合の対象とする」と何回も言明していることが影響していることは間違いない。

・ しかしここで疑問だ。定員割れしている学校が幾ら募集活動をしても車のセールスでもあるまいに、そう簡単に生徒が来るようになるだろうか。記事は公立の後期試験のタイミングが遅いから低学力層は「待つのがしんどいので早めに私立専願にして楽になりたい」と分析しているがこれだけの理由ではあるまい。

・ 試験が早かろうと遅かろうと偏差値輪切りの厳しい進学指導をする大阪の公立中学校だ。低い学力の生徒はやはり「15歳の春を泣かせるな」と実力に相当する府立高校を受験させ、確実に進学させる。一歩低目を狙って進学先高校を固めさせるのが通常のやり方だ。

・ 本質的に私は受験日が早い、遅いの問題だけではないと思う。試験日を極力前倒し私立の近くに持ってきても同じことではないか。本質は一部の学校を除いて「結局、公立人気がない」ということだと思う。

・ 誰も口に出しては言わないが、いわゆる旧制中学校からスタートした「ナンバースクール」と言われる名門伝統校を頂点として府内の府立高校には厳然たる序列があるのである。何の序列化と言われてもとにかく序列があるとだけ言っておこう。

・ その序列の下位の公立に進学するくらいなら「イッソ、幅の広い私立高校」に進学した方が「見た目、格好良い」ではないか。「どこの高校ですか」と聞かれて「府立の北野高校です」とか「天王寺高校です」と答えられる層は良いよ。

・ しかし「通っている学校名を明かす」のがはばかられるような学校だったら堂々と私立高校の名前を名乗りたいと思うのは自然な発想だろう。だから今年の入試では私学専願が大幅に増えたのだと私は分析している。

・ ところがだ。「どのような私立学校において生徒が増えたかが視点・論点」である。まさか星光学院高校が大幅に増えたのではない。増えたのはいわゆる「ボリュームゾーン」と言われる幅の広い層を受け入れる学校だ。本校もその一つである。

・ 我々は今年の状況を徹底的に分析した。驚くことに私立高校でも完全に「二極化」が見えるのである。生徒が増えた学校と定員割れした学校とにだ。定員割れした学校は共学校で36%、男子校で67%、女子校で82%というデータである。

・ 共学同士で比較したら府立高校は40%が定員割れ、私立高校では36%が定員割れと奇妙なことにほぼ数値が一致している。即ち本年度入試から公立私立合体しても40%程度が定員割れだから「増えるところは増えて、減るところは減っていく」現象が公立でも私立でも起きているということだ。

・ そして私立高校において「増えた生徒群がどのような層」であり、どのような資質の生徒であるかが次のテーマである。分かり易く言えば「生徒生活指導上の問題」が増えているかいないかという視点である。

・ 一度府内私立の生徒指導部長会議にでもオブザーバーで出席してみるのも教育担当の記者には必要かも知れない。大いに勉強になるはずだ。新聞記事にあったがダントツで生徒を集めた上宮高校の校長先生は「生徒が増えれば教職員のやる気も高まる」とコメントしたと記事にはあった。
・ 生徒が増えた分、生指上の観点で「教員の加配」とかは必要ないのだろうか。又「巨大な学年団でそれぞれの担任のレベル」は確保できるのであろうか等々、今年の我々の経験で心配する点もある。上宮高校の校長先生や先生方のご意見をお聞きしたい気もする。
・ 上宮高校さんは来春以降も「可能な限り生徒を受け入れよう」とグランドの一角に新校舎を新設する予定と記事にはあったが、このスピード感覚は素晴しい。本校も基本的に受け入れる方針であり、そのために来年度に向けて予備教室を4部屋作るべく工事をしている。

・従来の長い間の施策が授業料無償化で劇的に変ったのだから本校における入試の基準もどうあるべきか議論が必要だろうと過日担当教頭に指示したところだ。 常々私は本校の入試広報室に言っている。「ダイヤモンドに目がくらみ」ではいけない。「補助金が今年から生徒一人当たりのパーヘッド方式」に変った。生徒が多ければ多いほど補助金が多く貰えるシステムである。しかし従来取らなかった層の生徒まで入学を許可すれば当然40%の学校は定員が割れる。
・ 北極から南極までカバーするような学校は確かに見た目は良いが、本当にそれで本来の教育目的が達成されるのであろうかという疑問も出てこよう。せめて北極から赤道くらいまでとし、ある一線を越えては結局は長い目で見れば自分の首を真綿で絞めていると考えられなくもない。

・ 今年の入試結果を見て府内の公立の一部には「見たか、私立高校!してやったり」とほくそ笑んでいるかも知れない。私は「公立高校の逆襲」を私立は受けたのだとも考えてみた。府立高校の一部の高校が味わった苦しみを私立が今度は経験するかもしれないのだ。

・ 定員割れした私立高校の「怨嗟の向け先は府立高校ではなくて一部の私立高校」に向けられるであろう。「大阪の私学は一つ」のキャッチコピーが空しく響くようではいけない。生徒を多く取った私立高校の来年度の対応が極めて大切だ。公立も私立も24年度入試で全てがはっきりしてくるだろう。
・ 私は前から言っていたが、知事も、あのせっかちな知事も「今年は何も言わない。全ては来年」と言われているが、それは前の私学課長を含めて多くの関係者の一致した意見だ。大阪府の高校教育界の様相から目が放せない。面白いことになってきた。