・ 昨日の日経夕刊に「公立高、生き残りへ危機感」「生徒集め、PR熱心に」「再編の議論加速」などの見出しの記事があった。特段目新しい内容はなかったが大阪の府立渋谷高校の取り組み以外に北海道の実態が出ていた。
・ 府立渋谷高校は今年の春の入試では定員360名に対して入学者数は274名で競争倍率が0.76倍となり近年の最低となった。危機感を持った同校は「女子バレーは公立で8位、放送部は4年連続で全国大会出場」などと学校訪問の中学生にPRに懸命だと記事にあった。
・ 橋下改革によって私立の授業料が一部無償化になった関係もあって今年の公立対私立の比率は68:32と昨年の73対27と5ポイントも私立が伸びた。府立高校160校で定員割れした高校は昨年の7校から49校に激増したという。
・ 危機感を有した公立高校が従来以上にエネルギーを注入して学校PRを始めたというのである。大変結構なことで遅すぎるくらいである。幾ら入試日を早めたからと言っても公立に生徒が戻ってくるだろうか。教育の特徴など中味がまず第一だろう。
・ 公立高校の定員割れは大阪など都市部だけではなくて地方がより深刻と言う記事の内容もあった。北海道では07年から11年の5年間で道立高校が234校から215校に減少した。毎年4校づつ消えていっている計算になる。
・ それでも今年の春の入試では全道19学区の内札幌など都市部を除く15学区で平均倍率が1.0を下回ったとあった。道教委は来年の12年度から14年度にかけて更に7校の募集停止をするそうだ。
・ 道教委は学級の定員を40人、一学年の学級数を4から8と言う標準の配置基準に従えば更に再編が必要だが「地域の実情に照らして計画を練っている」とコメントしている。この言い方は微妙で、大体役人はこういう言い方をする。
・ 配置基準は即、国からの補助金の額に直結している。例えば簡単に40人学級を35人とか30人に押さえてクラス数を増やす訳にはいかない。当然のこと「教員の加配」が必要となるからである。大体教員1人1000万円のキャッシュアウトだと思えば良い。
・ この1000万円と言うのは「真水」だから相当なコストだと考えなければならない。道教委が言っているのは実際はもっと学校の統廃合が必要だが地域の実情を考え緩和していると言いたいのであろう。
・ 国に代わって教員コストを地方自治体が負担するには財政難の中でそう簡単な話しではない。だから地方の教育委員会はどの学校を統廃合の対称にするかは極めて慎重に対処する。「ぎりぎりまで極秘事項」なのである。
・ もし外部に漏れたりすれば「大騒ぎ」になることは間違いない。まずパターンは決まっており、PTAが騒ぎ、同窓会が騒ぎ出す。それに地域が乗って騒動になってくるとバッジ組みが出てきて拡大していく。
・ 私も前の公立時代には定時制の廃止で大変だった。着任した時にはすでに移行していたのだが廃止する時に貸与した資料室をどうしても必要で返して頂くために相当気を遣って手順を踏み時間を掛けた。この時に学校の統廃合の難しさを思い知ったのである。
・ 反対のスローガンは決まって「母校を無くすな」「母校を奪うのか」等なのだがこの気持ちは分かる。誰にとっても母校ほど愛着があって大切なものはないからだ。今学んでいる生徒の気持ちを考えれば「切ない」ものである。
・ しかし一方少子化で生徒数は少なくなるのだから当然比例して学校の数も減少して当たり前という議論もある。放置したら結局教育効果などにも影響を与える。文化祭や体育祭なども寂しいものになってくるだけである。
・ 反対論者は「土地建物を売って財政改善につなげる」という論理で攻めてくるがこれも少し違う感じがする。そう簡単に学校跡地を買って営利商売など出来ないし結局地域の公共施設として存続するくらいが山である。都心の一等地にある学校ならまだ売れ得るだろうがそのような学校は統廃合の対象にはならない。
・ 私は学校の跡地の利用方法についてはまだ成功例を聞いた事がない。第一あのコンクリートの塊を解体する費用だってままならないから教育委員会が自ら解体して「更地にして売り出す」ことなど出来ない。
・ 公立はそれでも行政の力で「統廃合」が可能であるが私立高校は厳しい現実が待っている。まず統廃合のうち統一は出来ないから廃止のみが残る。廃止が出来なければ後の手段は「別法人への身売り」である。これが多い。
・ 大阪では大学法人への身売りが目立つがまず彼らは「立地」を考える。付属高校としての大学との接続アクセスである。その次が「教職員の質」である。まず組合色の強い学校には逡巡する。そしてこれだけは強調しておかねばならないが大学は「一銭も出さない」ものだ。「無料で高校が転がりこむ」のを待つだけである。
・ だから私立高校の行く末は公立に比べて厳しいのである。答えは一つしかない。「そのようにならないように頑張るだけ」なのである。やって駄目だったらその時はその時のことで教職員の為に最善の手を考えるしかない。
・ その時はPTAも同窓会も関係ない。彼らが運転資金を出してくれる筈はない。架空の話ではなくて大阪の私立ではそのような状態に近い私立高校も数校あるやに聞いている。全ての原因は「生徒数が少なくなっている」ことで説明できる。
・ 本校は幸い理事会、教職員の一致団結で頑張って来たから「生徒が来てくれる学校」になった。しかし今は安心であるが将来ともこの状態が続くと考えたら大きな失敗をする。常に「改革を推し進め常に学校を活性化」させておく事が何より必要なことである。
・ 今日から実質的な来年度入試に向けた戦いの日々は始まった。「第2回関西大学連携浪速中学校の体験入学と入試説明会の日」であった。入試広報室の頑張りで昨年以上の小学校生徒が参加してくれて幸いであったが実際は年明けの1月まで入学者数予想は付かない。
・ 今日の新聞記事では公立生き残りへかけて危機感とあったが私立も全く同じである。母体が公立に比べて弱小であるだけに,まして大学系列の高校ではないだけに危機感は極めて大きい。私は心配性であるから先行きを何時も強迫観念で心配している。
・ トップが「能天気」では学校は潰れる。トップは心配性の方が良い。今の時代はこの姿勢が正しいと思う。トップがこうなのに教員が「能天気」では困る。困るどころか腹が立つのだ。今日も私は全身を使って本校の教育方針をご説明申し上げた。私の全身全霊全知能を使ってお話ししたのである。
