2011年9月8日木曜日

23年9月8日(木)「日本中枢の崩壊」



・ 三井住友銀行の営業統括部長が訪問してくれた。最近東京から転勤してきた人で、私が住友金属工業出身というのは先刻ご承知である。話はまず最近の東京の大手町住友村界隈の様相から始まった。懐かしい話であった。しかしもう10年も前の昔のことになった。学校界に転じて以来、あっという間の時の速さである。

・ 時々このようなバンカー(銀行家)と話をするのは勉強になる。今日も三井住友銀行企業調査部が纏めた「経済環境および中長期的な業界動向と戦略の方向性」と題した小冊子を戴いた。

・ 新聞記事は毎日舐めるように読んでいるがこのように纏めたレポートは大いに助かる。自分の読みと一致していた部分には嬉しくなるし不足していた視点などは大いに勉強となるわけだ。

・ 学校の校長なのだから経済指標など関係ないと言ってしまえば、そうかも知れないが私は違う考えを有している。大体学校の管理職を含め教師を生業とする人たちは「円対ドルの為替レートの動き」など基本的には全く関係ない指標である。

・ 大体教員で「日本経済新聞」を日常的に読んでいる人は多くは居ないのではないか。(「株」をやっている人は別だが。)聞いた話だが教員は朝日新聞しか読まないらしい。これでは考え方が偏るだろう。朝日は良い新聞で私も読者であるが書かれている内容には100%賛同と言うわけにはいかない。

・ 最近若手の独身教員に「新聞は何処のもの?」と聞いたら「取っていません」という答えが返ってきた。「ネットで十分です」と言うのだが、この意見にも賛同しかねる。余りにも薄っぺらだ。読まないで目で追うだけだから読解力も付かないし文章が上手くならない。

・ 話を戻してその部長さんとの話で出たのであるが、この11月27日に予想される大阪府知事、大阪市長のダブル選挙で橋下知事率いる大阪維新の会は現役「経済産業省官僚の古賀茂明氏に知事選への出馬を打診」していることが分かったとの朝刊記事である。

・ 今日の懇談ではまずこの選挙の話題の前に私のほうから最近読んだべストセラーとされている「日本中枢の崩壊」という本の話題を持ち出したのであるが、実はこの本の著者が前述の古賀氏なのである。

・ この部長もこの本を読んでいたらしく私が「話題の本だというが書かれている内容は当たり前の話で別に驚かないよ」と言ったら、身を乗り出して「ホンとですよね、組織としては当たり前ですよね」と語ってくれた。くしくも「読後感」が一致しているのである。一応大企業と言うところのサラリーマンは同じような感想を持つのではないか。

・ 古賀氏といえば最近はバラエティ番組や報道番組にも時々出演されて「官僚批判」を繰り返している人である。東大法学部を卒業して当時の通産省に入省した人だから「エリート中のエリート」であった。

・ 公務員の行政改革が主な業務で自民党の福田内閣の時には国家公務員制度改革本部事務局審議官という当に日の当たる場所で順調に業務をこなしていたが、自民等政権の末期からおかしくなって、民主党政権になってもずるずると後退する公務員改革に批判の火の手を挙げた男である。

・ 例の2010年10月参議院の予算委員会で答弁に立ち批判を繰り広げたら、時の官房長官であった仙石由人氏から「こういうやり方は彼の将来を傷つけると思います。優秀な人だけにはなはだ残念に思います」と述べたことから事件は始まった。

・ 古賀氏は2009年12月には審議官の職を解かれ経済産業省の大臣官房付きに回されている。これはポスト待命のポジションで言ってみれば「閑職」である。分かり易く言えば「干された」のである。座敷牢どころではない。これが1年半も続いているのである。

・ 普通の人間なら「うつ病の発症」だろう。恐らく覚悟を決めたのであろうが、古賀氏は今年の5月に一冊の本を上梓した。これが前述の「日本中枢の崩壊」なのである。現役官僚で有りながら徹底的に官僚批判を書いているが「まあ殊更驚く内容ではない」というのが私の感想であるとは既に書いた。

・ この古賀氏を大阪維新の会は橋下さんの後の大阪府知事に担ぎ出そうと言うのだが「エーッ、ちょっと待って」と言う気がする。古賀さんについて私は勿論知らないが本やテレビでの話される内容、伝わってくるお人柄など決して悪感情は持てない人である。

・ 頭は勿論良いがお顔立ちにも品があって口ぶりも良いのだがそれにしても大阪とは縁もゆかりもない人だ。朝刊記事に拠ればご本人も「仲間に入って共に戦いたいが大阪に土地勘がない」と固辞ではなくて「保留」したとある。

・ 維新の会は「公務員改革」の考え方が一致するとの理由だけで招聘するといっているが本当にあらゆる視点で考えたのと言わざるを得ない。私はあの太田房江前知事の二の舞になるような気がする。太田さんも東大出の通産省の役人だった。全く同じ経歴である。

・ 太田知事は基本的に大阪が好きではなかった。変な大阪弁を使って夕方には飲みに出るのが好きだったと聞いた。土地勘がないどころか週末になれば東京に帰っていた人だ。

・ 大阪の問題は公務員改革だけではないし、第一橋下知事は知事を辞めて市長選に出るの?と聞きたい。最近の様相を見ていると「ぶれていないか」。平松市長が反撃に出てきたが本当に「一騎打ち」になるのだろうか。

・ 知事と親しい知り合いの府内のある首長は「絶対出るよ。後釜は池田市の市長さんだ」と冗談ではなくて真顔で話してくれたがこれから様々な動きがあろう。もし古賀さんが知事にでもなったら自民党、民主党と中央官僚全てを敵に回すことにもなり兼ねない。第一に公務員改革が旗印の知事に対して大阪府の行政マンがどのように新しい知事を眺め迎えるであろうか。

・ 古賀氏の本には冷徹な自己分析がなされていない。自己弁護に偏っている部分も多い。組織の中に居て「自分の思うようにならないから」と言って「敵方に立ち、身内批判を公の場で繰り広げる」も結局は負けは負けである。決定的には橋下知事のようなパワーが感じられない。要は腕力が無いのだ。これは致命的ではないか。

・ 結局古賀氏が居なくなって公務員改革は民主党の体たらくもあって完全に後退した。今や誰も本気で公務員改革を考える中央官僚は居なくなったのではないか。ここのところが最大の問題である。歯を食いしばっても我慢して「捲土重来」を期すと言うのも「男の生きる道」であった。立派な人だけに残念でならない。

・ 貴方は大阪府知事には向いていない。大阪は中央省庁以上に難しいところだ。大阪府民は「華のある人物」が好きで貴方のような地味な方には難しいと思う。まあ最後は府民が選択するのだから好きにしたら良いが、それにしても最近の維新の会の動きは理解できないことが多い。大阪も溶け始めて来たのか。

・ そして本日の夕刊だ。経産省を辞めると記事が出た。又はっきりと固辞したとある。しかし橋下知事の例もある。あの人は200%出馬はないと言っていたが結局は出た。何か3年前に見たような光景だ。益々大阪が面白くなってきた。