2011年9月6日火曜日

23年9月6日(火)社会科教科書の採択




・ およそ「公教育を提供する学校」において何が大切かと言えば「教科書」ほど重要なものはない。1年間場合によっては3年間授業で使用する教科書の選択は教育委員会あるいは私学で言えば理事会の最重要なミッションである。

・ ところが一般の人はあまりご存知ないだろうがこの「教科書の採択」が時に大混乱に陥るのである。余談だが教科書の採択と言って選択と言う言葉を使わない。選択と言う言葉で良いだろうと思うがそれを遣ったら「門外漢」と言われるから日本は難しい。

・ 我国には「教科書の検定」という法律の縛りがあって学校教育法で「文部科学大臣の検定を経た教育用図書」を使用しなければならないとされている。検定制度も紆余曲折があったが、1963年、「教科書無償制度」の実現以降は「採択権限は教育委員会が有する」ようになった。

・ ところがこの教育委員会が「しみじみ」しないのだ。審議会の名の下に教師が「一次選考」する絞込みなどすれば審議などに回されなくなって実質教育委員会の権限を縛ったりしているのではないかという批判の声は何時も耳にする。

・ 最近では教師が教科書の「順位付け」するとの報道もある。これも違法だ。とにかく「子どもを戦場に送るな」「戦争賛美の教科書を採択するな」「教師の意見の排除はファッショだ」などとお決まりのスローガンで採択に大きな影響を与えてきたのも歴史的事実だろう。

・ 義務教育は以上のように明確であるが私立高等学校は行政上の解釈で学校長に採択権限があるとされている。とにかく学校教科書については時に検定や採択で大きな問題が起きている。特に記述の中味が諸外国を巻き込んで時に大きな騒動になることもある。

・ 例えば昔は「従軍慰安婦」の記述や「南京大虐殺」などは中国と大きな問題を引き起こした。最近では韓国との間で「竹島領有権」問題ですぐにギシギシする。先に尖閣列島での中国漁船の体当たり事件の起きた日本固有の領土である尖閣列島も自国の領土と書けないほど外交上の配慮をせざるを得ないのが実態である。

・ ところが今この教科書のうち平成24年度から使われる「歴史と公民の教科書」に「大きな動き」が出ているのである。ところがこれは産経新聞のみほぼ連続して記事にされているが他紙は完全に無視と思えるくらいに記事がない。一体その大きな動きとは何か?

・ 歴史と公民の検定図書は順不同で東京書籍、日本文教出版、教育出版、清水書院、帝国書院、自由社、育鵬社の7社であり、中でも最後発の「育鵬社」のものが採択数を大きく伸ばしているのである。

・ 特に特徴なことは全国「公立中学で409校」が採択を決めるなど私に言わせれば正直「驚天動地」とは言わないが「信じられない思い」がするのである。「感慨無量」と言っても良い。

・ 私は今から3年前浪速中学校で使用する教科書を育鵬社のものにした。理由は「中味が他のものに比べて大変良かった」からである。又神社神道の学校として「本校のアイデンティティに合致」していると判断したからである。

・ 私がワンマンで選んだのではない。社会科の教師が研究してくれて私に「答申」してくれた。「中学校教科書には育鵬社が断然良い」との結論を出してくれたのである。私はこの時ほど嬉しかったことはなかった。

・ 「採択の根拠となる理論」付けは簡明である。平成18年12月に我国は60年ぶりに「教育基本法の全面改正」を行った。特に教育の目的である第二条には「豊かな情操と道徳心」「公共の精神」「伝統と文化を尊重し(中略)、我国と郷土を愛する(中略)、他国を尊重し国際社会の平和と発展に寄与する態度」が明確に記述された。

・ この観点から教科書を選んでいくと必然的に育鵬社のものなる。歴史では「連続性」があって「日本に誇りを持ち日本が好きになると言う思想」、公民では「公の精神と日本の良さに気づく視点」が育鵬社の教科書は明確であった。

・ 当たり前の話で良き国際人になるには良き日本人であることが先だ。それを地球市民などと無国籍なことを言っても始まらない。要は自分の立っている場所が確認できる内容になっていた。まさしく「改正教育基本法に最も適った」ものであったから私は教員の答申を受けて採択したのである。

・ ところがそれからが大変だった。このことが新聞などで報道されると関係団体から執拗な採択阻止の活動が始まった。脅しに近い圧力まで受けて私は住吉警察署にも通報した。一歩も引かず、結果的には先方も諦めて今の関西大学連携校となった初年度の平成22年度から使用している。

・ このように教科書の採択は「タッチな問題」として教育委員会も校長も教員も地域住民も関係団体も「構える」のである。悲しい日本の現状である。ところで本校以外で採択している大阪の私立中学では清風中学があるが、たった2校である。

・ 広い大阪府でたったの私立2校だから、寂しいとは思わないが「ウーン」と思っていたら何と東大阪市が公立中学26校で来春から育鵬社の公民教科書を採択することが決まったとの報道に接した。私は仲間が増えたと心強く思ったのである。

・ その後次々と公立中学は育鵬社のものが採択され「全国の公立で409校」に達したのである。我々が採択した時のシェアは1%程度であったが公立私立合わせて4%を突破する勢いだと言う。素晴らしいことだ。世の中の流れが先の尖閣列島の中国漁船体当たり事件や東日本大震災で流れが少し変りつつあるのかも知れない。

・ しかし陰に隠れているが激しい妨害活動も起きており沖縄県では一旦採択したものが改めて不採択になるなど今でも大混乱に陥っている。石垣市と与那国町、竹富町からなる地区協議会は今や育鵬社の採択問題でばらばらとなって県教委を巻き込み先行きどうなるか分からない事態である。

・ こういったニュースは殆どの人が知らないと言うか知らされていない。それは前述したように各社が記事にしないからである。学校の教科書採択という極めて重要なものであるが日本のメディアは無視するのである。育鵬社がフジサンケイグループだからとしたらそれは「XXの穴の小さい」話だ。

・ とにかく育鵬社の教科書は「分かり易くてエピソードが多く載っている」「偉人に関する記述が多い」「自国と文化を愛する」等の姿勢が一貫している。「日本教育再生機構」顧問の岡崎久彦先生ではないが少なくとも「残骸の歴史」になっていないところである。

・ 残骸とは「左翼史観」「マルクス史観」「反体制史観」の呪縛に囚われていることだと岡崎氏は解析していたがまさしくそのとおりだ。明日を担う子どもたちに自分の国の歴史と文化を正しく教えることがまず持って重要であるとの信念に揺らぎはない。

・ 一部の勢力を張る教職員団体に属する教員は「自虐史観」にとりつかれ殊更教科書採択に圧力をかけてきたが少しずつ「変化の兆候」が見えるのが嬉しい。未だに自衛隊を違憲などと言っているが今回の大震災で自衛隊の評価も大きく変ってきた。

・ しかしそれにしてもまだまだ日本の社会科教育は遅れていると私は実感している。世界でこのような国はない。大人も子どもも正しい歴史認識を持つことが日本再建に必要である。そのためには正しい歴史教育を施すことが重要だ。「急がば回れ」ではないが最早教育の力で日本を変えるしかない。教師と教科書の責任は益々高まっている。